2023年のGW、大峰奥駈道(吉野駅~四寸岩山~大天井ヶ岳~山上ヶ岳(戸開式)~大普賢岳~行者還岳~弥山~八経ヶ岳~川合バス停)のナイトトレイルへ。熊野大社まで通すパイセンと一緒に、(熊野まで到底行く力がない私は)途中の八経ヶ岳までご一緒する予定。山上ヶ岳の大峰山寺は2023年度の戸開式の日で、普段と異なる様子も見ながら楽しんできました。
はじめに
コースが決まるまで
せっかくのゴールデンウィーク、前半はお天気も良さそうで、どこかの山に走りに行きたいなと思って調べていると、5月3日早朝(3:00~)に大峰山上ヶ岳の大峰山寺の戸開式があるもよう。夜の21:00頃に吉野駅を出たら、ちょうど3:00頃に大峰山寺に着くのではと企画を考えました。
とはいえ、最近になってちょろちょろと走り始めた状況で、いつものトレランメンバーには到底ついていけそうにない。同級生ランナーのテキヤンを誘ってみるも、あいにく予定ありとのこと。そんなこんなをパイセンに話していると、(その日は吉野駅から弘法トレイルコースで高野山の予定を変更して)それやったら奥駈で熊野行くわ~となり、途中までご一緒することに。
パイセンは、調子よかったらウエッチも熊野まで来いや~、とか言ってましたが、弥山・八経ヶ岳までの早駈コースでも怪しいのはわかっていたので、もとから途中離脱の装備(補給食)で参加しました。
概要(コース、日程など)
日時: 2023年5月2日(火) 9:00 (近鉄吉野駅) ~ 3日(水) 13:00頃 (天川村 川合バス停)
コース: 近鉄吉野駅 ~ 金峯山寺 ~ 吉野水分神社 ~ 金峰神社 ~ 四寸岩山 ~ 大天井ヶ岳(巻きました) ~ 五番関 ~ 洞辻 ~ 山上ヶ岳(大峰山寺 戸開式かすめて) ~ 大普賢岳(巻きました) ~ 七曜岳 ~ 行者還岳 ~ 弥山 ~ 八経ヶ岳 ~ 栃尾辻 ~ 川合登山道
当日に向けて作成した簡単なタイムチャートです。地図の登山者時間に、八経ヶ岳までは0.7掛け、八経ヶ岳以降は0.65掛けしています。適宜、休憩もとるので、少し甘めの係数掛けにしています。参考に掲載しますが、計算間違いがあるかもしれませんし、ペースの違いもあると思うので、あくまでもご自身で計画策定ください。

当日のコース図ですが、garminの結果です。本当は、■のゴール地点の少し右上にある県道21号のマーク辺りが洞川の旅館街で、そこまでみたらい遊歩道&ロードで行くつもりでしたが、そんな元気は全くなく、川合バス停から洞川までバスに乗りました。
※ 川合バス停横に観光案内所があり、きれいなトイレもあるので、そこで体を拭いて着替えてバスに乗れば、そのまま近鉄下市口駅に帰れます。私は、洞川温泉に入りたかったのと、亀清というお店の子持ち鮎の塩焼きを食べたいがために、バスで洞川に移動しています(笑)

距離・累積など: 距離 51.3km、累積標高 3,580m、
時間 15時間56分(到着後も時計止め忘れなど誤差含む)
スタート(吉野駅)~ 山上ヶ岳(大峰山寺)
2023/5/2 21:00 近鉄吉野駅の2人のおっさん(共に50代後半になりました)。お決まりの吉野駅看板前で写真撮影、もう何度この構図で写真を撮ったか。自撮りしようとしてると、「俺慣れてるから貸せ、こんなんだいたいでええねん」と言って撮ってくれたパイセン、ガッツリ吉野駅の「吉」に被る。(ちなみに、プライバシー処理でぼかしレベル最大でぼかしたのですが、特徴ある輪郭と陰影が消しきれず、関西ランナー業界ではほぼ顔ばれ状態ですが容赦ください。)
私は5/2,3の2日間ですが、先輩は5/4のお昼前後までの長丁場です。幸い、この3日間は関西エリア、ガッツリ晴れ。しかも2日と3日は気温も低め(山では寒かった)で絶好のコンディション。

先の長い先輩と、弱って走れない私は、ロードの登りは歩いたりしながら、1時間くらいで金峰神社に。そこから青根ヶ峰に向かいますが、パイセンがおもむろに「最近、青根ヶ峰で熊出たらしい」とか言い出す。「で、熊鈴持ってきたんすか?」と聞くと、「いや」と一言。結果、二人して、「ウリャッ!」、「オラッ!」、「ワッ!」とか、奇声を発し続ける深夜のオッサン2人に。
我々は夜間走をするので、小屋・テント場・民家のあるロードなどで鳴らないよう制御が面倒だったり、何よりうるさすぎて敬遠しがちですが、昨年末に大普賢付近で熊に体当たりされた滑落事故もあり、熊鈴は必携かもしれないですね。次回からはポイントで取り出せるようにザックには入れようと思っています。

無事、青根ヶ峰も通過し(熊はここだけに限りませんが)、ロードから四寸岩山へのトレイル取り付きに。熊野本宮を目指す先輩と弱っている私は、ここからは共にストックを使います。

最初のピーク、四寸岩山山頂です。風はないですが、気温はかなり低く、止まると寒いくらいです。トレイルランとしては、絶好のコンディションです。

四寸岩山から大天井ヶ岳を経て、五番関の女人結界門へ。当然のように、大天井ヶ岳は巻き道を使っています(笑)大天井ヶ岳の急登が厳しいこともありますが、大天井ヶ岳の巻き道は2箇所水場があることも大きいです。この後の水場というと、山上ヶ岳を越えた小笹の宿までありませんので。

泥辻を過ぎて泥辻茶屋では、深夜 2時頃というのに、多くの方が休憩されてました。大峰山寺の戸開式に行かれる方のようです。早くついてしまいそうだったので、一応、真っ暗闇の西の覗きに寄ります。真っ暗で月だけが光っていて綺麗ですが、当然ながら景色は全く見えません。

西の覗きを過ぎると、すぐに大峰山寺の山門です。いつもはこの時間に人はいませんが、戸開式ということで、山門に提灯がかかり、袈裟や法被を着た関係者の方が、提灯やペンライトを手に本堂に向かわれています。私のヘッデン(Ledlenser)は明るすぎて雰囲気ぶち壊しなので、慌てて光量を落とします。

山上ヶ岳の山頂ですので、風のない良い日でしたが気温はかなり低く肌寒かったです。我々が到着したのは2時20分頃で、そろそろかなという感じで、ぞろぞろと関係者の皆様が宿坊から本堂へ移動されます。

本堂前に集合して、みなさん、戸開式を待たれています。この後、鍵を振りかざした人馬が数基駆け出してきて、広場を「ワッショイ、ワッショイ」と回った後、鍵が開けられるそうです。あと40分もあるので待つの長いなと思いつつ、パイセンにどうしますと聞くと、「こんなとこに40分もいたら、凍りついて死んでまうやろ」の一言で、早々に出発することに(笑)
※確かに、私も、カッパ羽織るぐらいじゃ堪えれないくらい、寒いなと思ってました。
山上ヶ岳(大峰山寺)~ 八経ヶ岳へ
計画では3:30頃に到着の山上ヶ岳に2:20頃に着いたので1時間強の余裕ですが、パイセンは熊野本宮まで行くためにこの日の早めに持経の宿に入って仮眠する計画、先を急ぎます。途中、小笹ノ宿では水場で水を補給(1Lとおなかいっぱい)しましたが、テント泊の方が多くいました。あちこちに10張りくらいでしょうか。天気が良ければ、最高のテン泊ポイントです。
大普賢岳付近を4:00頃に通過、山頂に登っても真っ暗だろうと、当然のように巻き道を選択。大普賢を過ぎると尾根沿いの風が冷たく、レインジャケットと手袋をしてても寒いくらいです。ようやく、弥勒岳や国見岳付近で朝日が昇ってきました。

水太覗き、大普賢、小普賢、日本岳の向こうの朝日を見ながら進みます。次第に、鎖場などの奥駈らしい登山道が現れます。

七曜岳に到着。山と高原の地図では「しちようだけ」となってますが、看板は「ひちようだけ」。ヤマレコは「ひちようだけ」になってますね。この前後は鎖場や木製の(朽ちかけた)水平梯子などが多いですが、慎重に進めば大丈夫です。

七曜岳まで来れば、行者還岳までは小ピーク2つくらい越えればすぐです。といいつつ、この辺りで、登りがつらくなって、歩くスピードが遅くなります。(もともと、登りは全然走れていませんw)行者還避難小屋でアルファ米とジェルを入れて補給しますが、胃の調子も少し微妙で、パイセンには先に行ってもらうようにお願いしました。
行者還岳から聖宝ノ宿跡(理源大師像)までは、昔に走れてた頃の記憶から、結構走れる区間という記憶が更新されないまま、毎回、しんどい思いをしてました。今回改めて、いや、この区間、小ピークの連続でしんどいわと記憶更新しました。大した登りはなく、走れる人は走り切れる程度の勾配・距離の小ピークの繰り返し(6回くらい?)ですが、潰れてる時にはつらいです。(それでも、今回はストックがあったので、かなりましでしたが。)

まぁまぁ、疲れ切って、早いハイカーさんに抜かれたりしながら、ようやく聖宝ノ宿跡に到着。ここまでくれば、後は弥山の急登だけ。30~40分、ひたすれ我慢すれば、時間が解決してくれます(笑)

ヘロヘロになって、ようやく、弥山に到着。立派な弥山小屋があります。

もう何度も弥山に来てますが、必ず、カップラーメンは食べますが、実は、弥山の山頂に行ったことがありません(笑) 左手の鳥居の奥に登ると、弥山山頂があります(らしいです)。

パイセンもここでカップラーメン食ってるはずですが、大幅に遅れたのでさすがにもういません。後半に向けて立て直すためにも、ラーメン食って、ゆっくり休憩します。胃がやられ気味で、いつもはコーラも飲むのですが、吐きそうな気がしたので、カップ麺(お湯入り 400円)とフラスクにお水(500ml@50円)を購入して、日当たりの良いところで日向ぼっこしつつ休憩しました。

GWだからでしょうか、綺麗なメニュー表が張り出されていました。(GW中だけのものもあるかもしれません)今の弥山小屋のご主人・奥様も親切に対応下さりますが、この日は若いお兄さんが対応下さいました。すごく丁寧・親切な対応で有難うございました。

以前に友人と狼平から弥山に登った時、しんどかったので八経ヶ岳に行かずに、狼平に降りるというので、近畿最高峰が目と鼻の先なのに、馬鹿なこと言ってんじゃないよとか言った記憶があります。ただ、この日の私は、弥山から八経ヶ岳に向かいながら「そもそも、こんな降りたっけ。こんなに登り返したっけ。」とか、「弥山から狼平に降りた方が良かったかな」とずっと考えてました。実は、年々、弥山と八経ヶ岳の間って、離れていってませんか?(いえ、私の体力・走力が低下していっているだけです)
八経ヶ岳から下山コース
八経ヶ岳まで来れば、あとは川合まで下るだけです。転倒だけ気を付ければ、弱っている私でもなんとかなります。最初はガレた登山道を下っていくと、南奥駈道方面への分岐にでます。パイセンはすでにここを通過したはずで、私は今回も下山ですみませんと思いながら進みます。


昨年、このルートで遭難事故があり、幸い無事に救助されたのですが、(おそらく)そのきっかけとなった問題の道標です。トップリ尾への分岐の標識なんですが、メインの川合方面の表示がなかったため、登山道は左折と思われたそうです。左折すると、、、以前に「カラハッソウ谷とトップリ尾をたっぷり堪能トレラン」の後半に記載しているので参考にしてください。地図読みがある程度できて、GPSはあった方がいいですね、中級以上でないとコースファインディングが難しいかもしれません。
https://gogotrail.com/20220812_karahassou

この道標を設置された方は、おそらく、トップリ尾ルート視点で設置されたと思うのですが、確かに他のルート(そちらがメインのルート)への配慮が足りてなかったかもしれませんね(難しいですね)。上の写真のように、急遽手書きで、「明星, 八経へ」、「天川川合へ」と記載された上(従来は無地でした)、対面に新規の道標も設置されています。

さらに、ここから天川川合まで、新たにルート上のテープを設置し直して下さってるようで、これでもかと、真新しいピンクテープがついています。元々、台風直後でもなければ、ほとんど間違いようのないルートで、50m~100mおきに1箇所くらい、見渡すと常にいくつかのテープが見える状態なので、これでもかという感じです。いずれにせよ、登山者の立場からは、有難うございます。

この区間、トップリ尾分岐や狼平分岐(高崎横手出会)から栃尾辻までが非常に長いです。基本、ずーっと巻き道でピークなどは越えずに、ほぼフラットのやや下り基調ですが、景色がずっと一緒でバテてるときは長くて仕方ないです。が、愚痴る相手もいないので、粛々と進みます。

ようやく栃尾辻です。中は散らかっていてあまり人は入ってませんが、避難小屋があります。今回、初めて、木札があるのを見つけました。

栃尾辻の後は、最初に2つか3つくらい?、小さなピークを越えます。そのあと、左下に崩れた林道と本来の登山道のトレイルがあります。トレイルは巻きながらもピークの8割くらい登るので、崩れた林道が圧倒的に楽なのですが、林道は崩れているのでホントは立ち入り禁止と思われます(ガッツリ、道がついちゃってましたけどねw)。この日はGWで異常にハイカーさんが多いこともあり、きちんとトレイルを登って林道出会いに到着。
ここからは、鉄塔までフラットやや下りの走りやすいトレイルと、登山口までの激下り階段(段差大きい)を下れば、川合に到着です。
トレランの後(ひとりアフター)
川合に降りるとすぐに、「みたらい遊歩道 右」の看板が出ていますが、もうロードで洞川に行く気力はありません。迷わず、観光案内所とバス停に向かいます。

バス停へは、直進して吊り橋を渡っればすぐです。新緑とエメラルド色が美しい天ノ川を眺めながら進みます。

天ノ川はドボンしたくなるほどきれいです。(もう少し上流では、GWだし、家族連れがドボンしているのだと思います。)

川合のバス停に到着したのが、ちょうど13:00頃。洞川行きバスの時刻表を見ると、13:14発がありそう。観光案内所で混んでるか尋ねると、GWでもこの時間帯はさほど混んでないので、十分座れると思うよとのこと。
トレラン終わりは、生ごみみたいなもんで、臭いが気になるので、観光案内所のトイレで濡らしたタオルで頭・顔・腕・体を拭いて、Tシャツだけ着替えてバスに乗りました。バスはちょうど席が満席くらいでした。本人はわからないけど、それでも周りの人は臭かったかなぁ。
バスに座って20分程度で洞川バス停、歩いて5分くらいの村営の洞川温泉に向かいます。GWや夏休みは30分待ちなどになるので、少し心配でしたが、さすがに13:30から温泉に来てる人は少ないです。(とはいえ、普通くらいに人はいましたし、出る14:00過ぎには混んできていてロッカーが空いてないとか言われてる方がありました。)

わざわざバスで洞川に来る理由は、洞川温泉ともう一つ、亀清というお店で子持ち鮎を食べること。今回は、おひとり様でしたが、せっかく洞川に来たら、子持ち鮎の塩焼きとビールで締めて帰りたい。パイセンにも、「洞川寄って温泉入って帰りますわ」って言ったら、「お前、亀清行きたいだけやろ」と見透かされてましたが。

今回は、私が食べている間に、家族用にも子持ち鮎の塩焼きと鯖寿司を買って帰りました。子持ち鮎の大きいことや、卵がすごくたくさん入っていて、家族も喜んでくれました。
肝心のランの方は、実力不十分でボロボロでしたが、怪我無く、だいたいの計画通りには走れた上に、ひとりアフターも楽しく戴けて、よいGWの休日となりました。パイセンには足を引っ張って申し訳なかったですが、いろいろ有難うございました。また宜しくお願いします。
今回も最後までお読みいただき、有難うございました。