昨年、UTMB 2022に参加するに当たり、トレランザックを新調しました。サロモン ADV SKIN 12の3世代くらい前の型から2022年モデルへ更新したのですが、個人的な感想・使用感などをレビューします。
はじめに
レビューについて
以前にUTMB参戦について記載したブログにて、新調したギアでサロモン ADV SKIN 12について、「またレビューします」と書いたっきりになってました。すっかり忘れてたのですが、先日、久しぶりに会った仲間(グっちゃん)に、「ずっとレビュー待ってんねんけど」と言われ、少し記載してみます。ただ、ADV SKIN 12は、ご存じのように、超メジャーなザックで、ググると多くのブロガーやショップが紹介されてます。私が使って感じたことや悩んだことを、主観で書いてみます。
サロモンADV SKIN 12について
みなさんそうだとは思いますが、ザックを下して荷物の出し入れをするのが私は特に嫌いで、トラブルや大きな気温の変化がなければ、トレラン中に一度もザックを下ろさないこともしょっちゅうです。たぶん一度も下さないことの方が多いかもしれません。
荷物出し入れが面倒でサボったことで、補給を十分しなかったり、寒くても防寒着の着脱をせずに、調子を崩すこともあります。要は、ザックを背負ったまま、必要なギアや補給にアクセスできる要望が人よりも強いように思います。ADV SKIN 12は、フロント部分の両側や後方下部にパワーメッシュ素材で収納力の高いポケットを多数装備しており、私はパワーメッシュポケットを溺愛しているといってもよいのです(笑)。もちろん、メインコンパートメントを包む素材も、パワーメッシュほどの伸縮性はありませんが、ある程度の伸縮性がありますので、荷物を詰め込むことができます。
私がトレランザックに求めること
既に、立ったままギアにアクセスしたい要望は記載しましたが、私がトレランザックに求めることを改めて整理してみます。と言っても、特に変わったことはなく、トレイルランナーであれば多くの方に共通のポイントと思います。
体にフィットして揺れないこと
トレランザックには、リュック型とベスト型がありますが、近年はベスト型が主流でしょうか。より体にフィットして揺れにくい構造のため、走りやすいためだと思います。私自身は、ロングトレイルでは少しの揺れでも皮膚が擦れて出血するようなことも多かったですが、体にぴったり合わせると(荷物をうまく入れれば)そういうトラブルはなくなりました。
ただ、サイズですが、海外メーカーはとにかく大きいです。私は、身長170cm、体重57kg程度ですが、ADV SKIN 12のサイズはXSを選んでいて、丁度良い大きさと感じています。
必要容量が確保できること
ADV SKIN 12は、その名の通り、容量が12Lですが、パワーメッシュの伸縮性を使うと、14L以上は入ると思います。UTMF (FUJI)や、UTMBのようなエイドのあるマイルレース(途中でデポバッグを預けることができる)なら、雨具・防寒具を持っても必要十分なサイズと思います。(中には、8Lでいけるという方もおられますね。)
一方で、ショートやミドルのレースでも、特に大きすぎて困るということはないので、いわばオールマイティなトレランザックと思います。
ただし、冬のトレイルなど防寒着が嵩張るような場合や、100km以上をエイドなし補給食などを全て担いで移動するといった場合は、20L程度(以上)が必要になると思います。
背負ったままアクセスできる大容量収納ポケット
最近のベスト型トレランザックの多くは、メインコンパートメントの外側に、パワーメッシュの大容量ポケットを配しているものが多いです。レースでも、パーゴワークスやレイドライト、UDなどの使いやすそうなザックを目にすることがあります。
残念ながら、私自身は、それらのほとんどを使った経験がありませんので、全て比較してベストな1つを紹介するようなことはできません。サロモンしか使ったことがないので、「迷うんだったらサロモンいっといて大きな失敗ないんとちゃいます?」程度の紹介しかできません、すみません。ただ、それくらい、ADV SKIN 12のメッシュポケットは、ポケットの数や大きさ、配置など工夫されているように思います。ちなみに、サロモンさんから、キックバックなどを頂いて紹介しているわけではありません(笑)。
折り畳みストックの着脱容易さ
これは人によるかもしれません。私はロングの練習や、ストックの使えるロングレースで、ストックを使用することがあり、できればザックを背負ったまま着脱できるのが理想です。更に、走る時の腕振りへの影響などがないのが理想です。端的に言えば、ハセツネやUTMBなどのレースで、必要な時だけストックを使い、不要な時はすぐにしまって走りたい、ということです。
旧バージョンのADV SKIN 12について
それでは、早速レビューといきたいところですが、その前に、比較の対象となる私が従来使っていた旧バージョンのADV SKIN 12を少しご紹介します。旧バージョンと言っても、もう4年とか使っていると思うので、3世代くらい前の型なんじゃないかと思います。(↓ 写真のやつです。正確にはわかりません、ご容赦ください)
気に入っていたところ
くどいですが、フロント左右の下半分、背中部分の下半分を覆うようにあるパワーメッシュ。この大容量に立ったままアクセスできる点が気に入ってました。特に、後方のパワーメッシュ部分は、サイドからガバガバに開いていて、何でも放り込む収納力を持っていました。
私は、SEA TO SUMMITのドライバッグを愛用していて、通常はランニングの着替えやタオルなどのセット(5L 青)と、レインウェア(上)とテーピング・薬・ハンドライト等のレスキューキット(3L 白)を持ち歩くことが多いです。(もちろん、これに加え、フラスクや補給食など諸々をもちます)
着替えセットをメインコンパーメント、レスキューキットを背面のパワーメッシュ部分に入れるとして、旧バージョンだと下のような状態になります。
見づらいですが、わかるでしょうか。余裕アリアリで、がばがばな状態です。大抵、この上に、補給食としてお握りやら、菓子パンやらを突っ込んだり、ヘッデンなどを突っ込んだりしても、ノビノビなパワーメッシュが大きな容量で包み込んでくれるのです。一眼レフカメラを入れていたりしたこともあります。(まぁ、荷物が少ないと、多少揺れるんですけどね)
後ろだけでなく、先の写真の通り、フロントの下部半分くらいも、ガバガバのメッシュで、とにかく放り込めたわけです。しかも、チャックのついてるポケットが重なってあり、大事なものはそこに収納することもできました。
微妙だったところ
私がうまく使えてなかっただけかもしれないのですが、ストックが収納できなかったんですよね。当時、メーカーサイトなどを探して調べたんですが、忍者のように背中にたすき掛けするような仕組みしかなく、毎回、この収納をするのは難しいなと思っていました。
そこで、ゴムとフックを購入して自作でホルダーを制作していました。下記のような感じです。ヘアバンドのようなゴムとフックのパーツなどを4セット購入して、ザックの内側のフックに装着しました。
結果、下記のように装着は一応できるようになり、実は何度もこれでレースにも出場しました。ハセツネも2度くらい、これで出たように思います(笑)
別に悪くないんじゃない?という風にも見えるのですが、内側についているのと、高めについているので、人からよく、こけたら喉に刺さるで、と注意を頂いていて、何か改善できないかとは思っていたのでした。下の写真を見ると、確かに危ないなぁと思います。(二上山にて)
買い替えた理由
上の写真を見て、買い替えようとした理由にお気づきの方もあると思います。「穴」です。ノビノビのパワーメッシュ大好きで、毎回毎回、ノビノビ~させてたら、接合部に穴が。こうなると、徐々に穴が大きくなるのは必然で、荷物少ない時限定になってしまったのです。(↓ 穴のアップ)
上記のような状態で、UTMBに参加するのを機会に、同じものでもよいので、新しいのに買い替えようと思ったのが動機です。
2022年版 ADV SKIN 12 良いところ
上部トップポケットが激しく便利
一番、大きな変化点は、上部のトップポケットができたことですね。首筋後方あたりに3~4L程度の開口部のあるポケットがつきました。着脱するレインウェア、ウィンドジャケットや、ヘッドライトなどを収納することを想定していると思います。では実際に入れてみます。まずは、ヘッドライト(Ledlenser NEO20R)を入れてみると、スカスカですね。
加えて、薄手のウィンドブレーカ(montbell ウルトラライトシェルジャケット)も、放り込んでみます。容量的に丁度くらいですね。3Lあるかないかという程度でしょうか。(写真はわざと中が見えるようにしてますが、きっちり押し込んでも、ぴっちりとは入りません。)ザックを担ぐとテンションがかかるので、落ちることはないでしょう。
先日に大峰奥駈道に走りに行った際も、夜間などはかなり寒く、レインジャケットをトップポケットに入れたり、出して着たりしていましたが、非常に便利ですね。ただ、開口部がかなり大きく、細かいものは、落としてしまう危険があるので、衣類などの収納に良いように思います。
ストック収納が可能
ストックの収納機能に対応しています。これは、2022年モデル以前から対応してたようです。2019年モデルから対応していたんですかね。フックなどの機構は微妙に変わっていますが、いろいろ悩んだ結果、私は下記のような使い方をしようかと思っています。
ストックの格納に関しての検討は、また後ろで記載しますが、まずはザックの下ではなく、前に装着することで、着脱が容易になると考えました。少なくとも、ザックを付けたまま装着できると。ちなみに、下部に装着するパターンは下のようになるかなと考えています。
なお、上の写真の黄色いテープは、落とさないようにマジックテープをつけています。が、山でこの作業は、毎回、少し時間がかかるので、次回からは上の写真のフロント装着にしたいと考えています。
(小さいけど)ソフトフラスク開口部がでかい
ADV SKIN 12は、定価で\18,700(税込)ですが、500ml ソフトフラスクが2本付属するので、さほど高くはありません。(フラスク分を考慮すると、標準的な価格かと思います。)すでにソフトフラスク持ってますという人も多いと思いますが、吸い口の部分を紛失したり、穴が開いたりしていたりするので、予備があっても良いですよね。しかも、開口部が広いタイプのソフトフラスクで、小さなことですが、ストレスは減ります。滝で水をくむときや、ペットボトルから移し替える時などは、開口部の大きさでずいぶん違いますよね。下の写真のように、ドボドボに出てる水場では大差ないかもしれませんが。
2022年版 ADV SKIN 12 微妙なところ(しいて言えば)
背面下部パワーメッシュ容量の削減(トップポケットと相殺)
トップポケットが追加されたため、後方下部(メインコンパートメントの下)のメッシュポケットのサイズが大幅に小さくなっています。結果的に2つに分割されたと考えられ、大きい荷物をサイズ気にせずメッシュポケットに放り込むことができなくなりました。逆に言うと、うまくトップポケットと分けて使わないと、実質的な収納容量は低下することになります。うまく使いわけることができれば、より使いやすくなるものの、そうでないと容量が減るということで、よく考えて使ってねということですかね。
上の旧モデル紹介で用いたのと同じレスキューキットのドライバッグを、メッシュポケットに入れてみました。ちょうどというか、ギリギリというか、旧モデルでガバガバで余裕あったのに比べると、狭くなっていることが写真からもわかるかと思います。
左右両肩付近のポケットが落ちやすい
フロント左右のフラスクの上部で、背負うと肩の位置付近には、左右対称のポケットが容易されています。ポケットの内側横に開口部があり、そこから、ジェルなら3本程度や、ジェルとバーなどを格納することができます。小さいタイプなら、ヘッドライトなども入るかもしれません。
↓ 背負った時に、左肩に来るポケット。
↓ 背負った時に、右肩に来るポケット(左右対称なので、両方紹介は要らないか)
恐らく、肩に近い位置でアクセスしづらい位置なので、少しでもアクセスし易いように、敢えて内側横に開口部を設けたのだろうと想像するのですが、物を落とさないか少し心配になります。背負うとそれなりにテンションがかかるので、大丈夫かなとも思うのですが、たくさん入っている時より少ししか入っていないときに振動で落ちないか少し心配になります。
というのも、私が使ってた旧バージョンはここは右肩はチャックで、落としてはいけないもの(小銭とか)を入れたりしてたんですよね。愛用してただけに、そこは少し残念です。(↓ 旧モデルの右肩あたりのチャック付きポケット)
↓ ちなみに、旧モデルでは、左肩あたりのポケットも、蓋つきポケットのような形でした。
メインコンパートメントの小さなポケット、フックなどがない
メインコンパートメント内に、少し細かい荷物(例えば鍵類など)を入れたいときに、内部に小さなポケットや落とさないためのフックなどがあれば便利だと思います。実際、少し前のモデルでは、小さなポケットとフックがあったようです。今は廃止になっているようで、残念に思います。
そもそも使い方が良くわからない(自分で考えろと?)
というか、取り扱い説明書要りませんか?フックや調整コードなどいっぱいありますが、説明書などはなく、見たらわかるやろということなのか、自分で考えて自由に使えということなのか。でも、メーカーが想定した使い方というのがあるはずで、使い方をWebでも良いので、きちんと紹介してほしいです。
2022年版 ADV SKIN 12 使用法・活用法
活用法とかいうほど、そんな大それたことじゃないんです。他のブロガーさんも書かれてたりするんですが、意外と気づかなかったり、悩んで考えた結果、こういうことかなと思ったことを整理しました。
結局、ストックはどう装着するの?
ストックの正しい装着方法、意外とわからないです。Webの写真とか見てたのですが、イマイチ、よくわかりません。たとえば、ザックの後方下部に装着する場合、下記のような取り付け方が想定されます。
コード長さ調整のフックを、ザック下部の小さな紐のループにひっかけるというもの。これだと、
・紐を一番短く絞っても、十分締めつけられるのか
・コードの余り部分がプラプラする
・後方のメッシュポケットと場所が重なる など、
といった、イマイチな状況が発生します。
そこで、下記のような取り付け方が良いかなと考えました。(黄色のマジックテープは念のためにつけています。)
上の写真ではわかりにくいですが、下の写真のように、単にコードのワッカ部分で調整フックで締め付けているだけです。すると、コードの余り部分が出るので、それをぐるぐるとストックに2周くらい巻きつけて、調整フックの鍵部分とコード先端のO部分をひっかけています。
ストックの全重量がコードの縫い付け部分にかかってしまうので、耐久性に不安は少しあります。そのため、上記の黄色いマジックテープを(重量負荷軽減と、万一、切れた時も落下しないように)保険でつけています。が、基本的には、私はフロント左右に収納しようと思うので、あまりこの使い方はしないと思いますが。
フロント左右に、縦にストックを収納する場合も、上記のコードの使い方と同様に考えました。まずは、フロント収納の時の上部の調整コードは、両肩位置のメッシュポケットの中にあります。これを内側から出すこともできるのですが、私は外側の小さな穴から外側に出して使っています。(下の写真)
そうして、上、下の調整コードの輪の部分にさして、調整フックで締め付けます(下記の写真)
調整コードの余り部分がブラブラと出てしまうので、ブラブラ防止のためにストックの周りに2週くらいグルグルっと巻いて、調整フックの鍵部分とコード先端のO部分をひっかけると下写真のようになります。
「調整フックの鍵部分とコード先端のO部分をひっかけると」が、言葉で伝わるか微妙でしたので、アップ写真を掲載します。(この写真は、後方部分なので横位置ですが、要領は同じです。)
これが想定されている正しい使い方か否かは不明ですし、ウォーターボトルの外側になるので、腕振りに少しあたる感じがあるのですが、当面、この方法で様子を見てみようと思っています。
ポケットの中のホイッスル、フックを見逃しなく
これは、普通に使われていると気づかれると思いますが、フロント両肩部分のメッシュポケットには、(背負ったときに)左のポケットにホイッスルがあり、右のポケットにはフックがあります。私はあまり使ってないですが、知っていると便利ですね。小銭入れなどもフックにかかるタイプなら右肩ポケットに入れておけるかもしれませんね。(六甲山の某草レースのエイドで投げ銭用の小銭入れなどが必要になるので丁度良いかと。)
↑ 左ポケットのホイッスル。必携装備の大会もあるので、これでいけますね。
↑ 右ポケットのフック。フックにかかる小銭入れなどに便利かも
ゴミポケット?もあります
フロント右の外側のメッシュポケットに、袋型の内ポケットがあります。紹介サイトなどではゴミ袋として便利と書かれていることが多いです。私も、最近は、これをゴミ袋と決めています。ジェルなど食料の包装など、サイズも丁度よい感じですし、落とす心配もありませんね。
サイドのコンプレッションコード 締めてます?
いえ、ずっと締めずに使ってましたよ(笑) 今回、この記事を書くのに、そういえば荷物のコンプレッションの調整ってどこでするんやとコードの先端を探したところ、サイドのメッシュポケットに調整フックがありました。元々の生地に伸縮性があるので、不要かもしれませんが、荷物の量に応じて調整しましょう。
↓ コンプレッション 全然、効いてない状態(コードがユルユル)
↓ 調節フックはサイドのメッシュポケットにありました。
↓ 締めるとテンションかかりました。(ちょっと締めすぎ?)
どっちがメインコンパートメントなの?
半年近く、気づいてなかった大型空間が出現(笑)。上から見ると、背中側のメッシュ素材の次にハイドレ用の空間があり、その次に、もう1つ空間があります。後方外側のファスナーでアクセスする空間と、重なって2重に空間があり、私は全く使っていませんでした。トータルのサイズは決まっているので、どちらかに入れるとその分、一方の容量は減るので、私自身は特に使わないかな・・・と思っています。小物などがたくさんある場合は、2つの空間を使い分けたら良いかもしれません。
ADV SKIN 12 基本情報
↑ 思い切り詰め込むと、かなり入ります。(形が原型をとどめてませんが)
SALOMON ADV SKIN 12
・価格:¥18,700(税込)
・サイズ:ユニセックス XS-XL、WOMEN 2XS-L
・カラー: 4色
・寸法:40 x 19 x 1
・容量:12L
・重量:293g(本体)
・500mlソフトフラスクx2付属